引用:星野之宣「ヤマタイカ」潮出出版.昭和62年10月1日.表紙

たつき諒「私が見た未来 完全版」の出版による衝撃からか、「予言マンガ」というようなジャンルが出来てきていますね。

私が見た未来では、作者が見た予知夢が当たっていく様子を短編マンガにまとめたものですが、表紙の中のメモ書きに「大災害は2011年」と書かれていたことが話題になりました。

そんな中、話題になった「予言マンガ」に、星野之宣「ヤマタイカ」があります。

ヤマタイカは1986年から1991年まで、「月間コミックトム」で連載されていたマンガです。
古事記や日本書紀等をベースに、邪馬台国から日本人の由来に迫る「火の民族仮説」を打ち出した歴史ロマンあふれる作品ですが、劇中に超能力の類が頻発するので、SFに分類されています。
個人的には、「伝奇」でいいんじゃないかなと思うんですが。
掲載氏がマイナーだったため、知名度は高くないものの、1992年に第23回星雲賞のコミック部門で入賞するなど、高い評価を受けた作品です。
個人的には、古本屋でマンガを漁っていると、必ず見かけるタイトルだったな…という印象があります。

「地震を予言していた」「予言内容がリアルに描写されている」などと言われ、話題になっているヤマタイカですが、この作品では、どんなことが予言されているのでしょうか?

ネットで話題になっている予言内容をご紹介します。

また、実際にヤマタイカを読んでみて、私なりに検証してみたいと思います。

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マンガ「ヤマタイカ」予言内容まとめ!富士山噴火や地震は来るのか?

引用:星野之宣「ヤマタイカ」第6巻.潮出出版.平成3年8月15日.p342~p343

ヤマタイカの劇中で、予言されていたことというのはどのような部分でしょう。

ネットで挙げられている「予言」内容をご紹介します。

 

東日本大震災

引用:星野之宣「ヤマタイカ」第6巻.潮出出版.平成3年8月15日.p96

劇中では、各地で火山が噴火する中で、地震も発生するという未曽有の大災害が描かれています。
各地の災害に対応する中で、「こちら福島です。東北から関東にかけて広域地震発生!まだ揺れてますっ」というセリフが出てきます。
これって、どこかで聞き覚えがありませんか?
そう、東日本大震災の地震範囲ですよね。
状況からして、火山性の地震といった違いはありますが、東日本大震災を彷彿させる地震が発生しています。
さらに、地震から最悪の大惨事につながります。

福島原発の放射能漏れ

引用:星野之宣「ヤマタイカ」第6巻.潮出出版.平成3年8月15日.p99

福島の原子力発電所で、放射能漏れ事故が起こってしまいます。
放射能漏れによる住民の不安もしっかりと描かれていますね。
放射能汚染から逃げるために、非難する住人の姿も描かれています。

阪神淡路大震災

引用:星野之宣「ヤマタイカ」第6巻.潮出出版.平成3年8月15日.p24

直接、地震の描写はないのですが、阪神淡路大震災についても描写されています。
瀬戸内海に火山島が隆起したため、火山島の噴火から大地震が誘発される恐れがあると指摘します。
上図の地図では、×印に火山島が隆起したことを示していますが、この位置は阪神淡路大震災の震源地と一致します。

海底火山噴火による火山島の誕生

火山島の隆起は、2021年に小笠原諸島沖に隆起した火山島の隆起を予言したものだという人もいます。
軽石騒動の原因にもなった事件ですよね。

未来予想 富士山噴火

ヤマタイカのクライマックスは、富士山の噴火を起こすことで一つの盛り上がりを見せます。
祭を盛り上げるために、富士山を噴火させようとする主人公側勢力と、それを阻止する治安側勢力の戦いが描かれるのですが、結局は、富士山は噴火します。
予言の締めくくりとして、富士山の噴火を予言しているのではないかと言われています。
「私が見た未来」でも、富士山噴火の話題はありましたよね。まぁ、完全版で否定されてましたが。

未来予想 経済破綻

劇中では、日本が壊滅的な打撃を受ける形で幕を閉じます。
戦後50年をかけて再建してきた日本を、民衆がぶち壊し、まるで戦後みたいな様相を呈しています。
そういえば、どこぞの経済学者が、日本は東京オリンピックの負債が元で、2050年に経済破綻を起こすなんてことを言ってたっけ。
それが現実になるのではないかと、心配する声が見られます。

 

実際に読んでみた考察

予言の話を聞いて、実際にどんな話なんだろうと読んでみました。

実際に読んでみて、予言については、ぶっちゃけこじつけだな…なんて思ったのですが、あくまで個人の感想です。

なので、これから書く考察は、予言を否定するものばかりですが、「そんな意見もあるんだな」程度に流していただければ、お互い幸せなのではないかと思います。

大まかなストーリー

大まかなストーリーを紹介します。ネタバレも含むので、注意してください。

「火の民族仮説」を唱える考古学者の熱雷草作は、自分の仮説を完成させるために、息子の岳彦を連れて沖縄県久高島を訪れます。
火の民族仮説は、九州に邪馬台国があり、大陸から流れてきた民族(火山を恐れる日の民族)により邪馬台国が乗っ取られる。邪馬台国を構成していた火山信仰の火の民族が北に追いやられる。その一方で、邪馬台国の宗教的な一端を担っていた巫女団が海に流され、久高島に定着した。火の民を制圧しながら東に移動していった日の民族は、大和朝廷を築いていくという仮説。
久高島には草作の娘であり、伊耶輪神女の神女王の地位を受け継ぐ伊耶輪神子がおり、1700年前から呼びかける卑弥呼の声に従い、邪馬台国の祭「ヤマタイカ」を現代に復活させるべく、巫女団を率いて旅をします。
熱雷親子も、同様に邪馬台国の民族移動を追い求めて旅します。
護国信仰の仏教勢力の妨害を受けながらも、神子たちは邪馬台国の祭器「オモイカネ」を手に入れ、ヤマタイカの祭を実施します。
ヤマタイカの祭は、景気よく火山を噴火させながら、お祭り騒ぎをしようというもの(語弊あり)。
江戸時代からの歴史で、60年ごとにみられる踊狂現象は、ヤマタイカの祭の一端だと考えられ、ええじゃないか騒動から太平洋戦争を踊狂現象の一種として、約60年周期にあたる現代にヤマタイカの祭を行います。
手始めに、神輿として戦艦大和を幽霊船として復活させ、沖縄の米軍基地を攻撃します。米軍と戦う戦艦ヤマトの姿を見せることで、日本人の高揚感を高め、沖縄からお祭り騒ぎの練り歩きで九州に渡り、東京を目指していきます。
その一方で、北海道のアイヌ民族と協力し、ねぶた祭りを誘導して、北から東京を目指す流れを作ります。
一斉に起こる火山噴火を背景に、ヤマタイカを阻止する仏教勢力や、自衛隊による治安維持活動もむなしく、福岡の地震で放射能漏れ事故が起こり、住民が東京を目指して非難しだしたりと、日本中の人々が踊狂現象を起こして東京へ雪崩込み、富士山の噴火を背景に、1週間くらい踊り狂っていた…
後には、戦後の焼け野原みたいに荒廃した東京が残り、踊狂現象は「世直し」とも呼ばれ、60年ごとに支配者に民衆の底力を見せつけていたのさ…というようなセリフでしめます。
復興の進んだ1年後、高久島の巫女が次のヤマタイカを暗示するセリフで、終幕となります。

…ヤマタイカの祭、普通に考えて、はた迷惑な祭りですよね。
最後なんか、戦艦大和が東京湾で爆発して、大勢の人が津波に飲まれて亡くなっているってのに、祭で踊り狂ってるんですもの。

考察 東日本大震災の予言

ここから予言の考察に入ります。
個人の一意見に過ぎないので、真に受けたりせず、こういう考え方もあるんだなという参考程度に受け取ってください。

東日本大震災の予言については、ただのこじつけに過ぎないと思われます。
ねぷた祭を使って、民衆を動かしてみたものの、東北南部から関東の人を動かすネタとして、地震からの放射能漏れ事故を使いたかったというところですね。
当時は「原発神話」があったから、そんな発想はしにくかったなんて言う人もいますが、原発神話なんて信じている人いませんでしたよ。利害関係の都合で、原発神話を受け入れることはあっても、信じている人はほとんどいなかったと思います。
それよりも、チェルノブイリの事故もあり、原発=メルトダウンのイメージが強かったです。当時のゲーム、シムシティでも、原発を作ればメルトダウンになるっていうのが定番のパターンだったし、当時の子供心に原発が安全だなんて思えなかったですね。
原発=放射能漏れが常識?だった時代で、東北の原発問題は常々語り草になっていたので、地震⇒放射能漏れは、定番とすら言えるネタです。
東日本大震災の時は、交通も遮断して、自力で避難できる状態じゃなかったと思うけど、どうだっただろう?
地震の範囲が一致するのは、偶然で片付けられる範囲でしょう。
そもそも、東日本大震災の時に問題となっていたのは、津波です。そこに言及がないのに、予言したというのは、無理がありますね。

考察 放射能漏れ事故の予言

劇中で、放射能漏れ事故が起こったのは、福島と新潟です。
実際に、事故があったのは、福島第一原発でしたよね。
前述したとおり、当時の世相で放射能漏れ事故を扱うのは、不自然ではないので、これを予言というのは苦しいですね。

考察 阪神淡路大震災の予言

正直、新オノゴロ島(劇中で隆起した海底火山)と震源地の位置が一致していたことは、驚きの内容でした。でも、あのあたりで開けた海域って、あの辺じゃないですか。
自然と、地図上にマークを打つとしたら、劇中の地図の位置か、もう少し上くらいではないでしょうか。
劇中でも語られていますが、紀伊半島から四国には中央構造線という日本最大の断層があって、地震の要注意地域として知られていました。
劇中でも、「もともと地震の要注意地域だ」と説明しているだけで、予言でも何でもない現状説明です。
嘉門達夫の「怒りのグルーヴ震災編」でも、こんな一節があります。
「活断層の地図を見ながら学者がしゃべる
もともと危険なところだったのです
早よ言え 先に言え」

考察 小笠原諸島の海底火山隆起の予言

完全なこじつけです。
小笠原諸島なんて一切出てきません。
海底火山隆起のシーンを出したら、それだけで予言になるのですか?

考察 富士山噴火の未来予想

富士山は噴火したのではありません。噴火させたのです。
江戸時代の、富士山噴火の被害がすごかったというのは聞き及んでいますが、象徴的かつ、規模の大きさで、予言の目玉にされやすい存在ですよね。
たつき諒の「私が見た未来」に関連付けて、語られる面もありますが、タツキ諒は完全版で、富士山の噴火を否定しています。

考察 日本の経済破綻の未来予想

これを真に受けてしまうと、日本は60年おきに経済破綻してしまうということになりますね。

そして、その60年周期は過ぎていますよね。

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まとめ

星野之宣「ヤマタイカ」では、東日本大震災、原発事故、阪神淡路大震災を思わせる描写があり、予言マンガだといわれています。

火山噴火や、それに伴う地震を多く書かれているため、描写が一致する場面はありますが、これをもって「予言」だとするのは、かなり苦しいように思えます。

ヤマタイカは、日本人のルーツを探る歴史ロマンと、祭の狂騒、ダイナミズムを描いた傑作だと思います。

「予言」という観点で、読まれるのは、作者も不本意なのではないかと思われます。

ともあれ、これをきっかけに、前から気になっていたヤマタイカを読めたので、個人的にはありがたい話でした。

 

こんな、面白過ぎる内容となっていて正直ビックリです。一度、見れば続きが見たくてハマってしまいますね♪

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